LaTeX を使ったレポート作成

松本成司
Last modified: Mon May 31 17:29:08 JST 2004


0. はじめに

「他の講義でパソコンを使ってレポートを作成する宿題が出たのですが、 どのようにして作成すればいいですが」 といいう質問をよく受けます。 そこでこのページでは、LaTeX という文書整形ソフトを使って 簡単に美しい印刷物を作成する方法を説明します。

LaTeX というのは、TeX とよばれる組版 (typesetting) プログラムをより使いやすくするために Leslie Lamport氏が作成した文書整形プログラムです。 TeX は Donald E. Knuth教授によって開発されましたが、 TeX も LaTeX もフリーソフトウェアであり、 UNIX系のOS (Linux, FreeBSD, MacOS X, NeXTSTEPなども含む), Macintosh(〜OS9), Windows, などが動くほとんどのコンピュータで自由に (もちろん無償で) 使うことができます。

また日本語も使える TeX, LaTeX としては、NTT で開発された jtex (jlatex を含む) と ASCII で開発された ptex (platex を含む) というのがあり、ptex は縦書きにも対応しています。

LaTeX を使えば、講義のレポートだけでなく、 論文や手紙、本、コンパの案内、履歴書など、 要するに印刷目的に作成するものなら何でも、 簡単に効率よく美しい印刷物が作成できます。

ただし、(言うまでもなく) ここで説明しようとしている 「美しい印刷物の作成方法」はレポートの内容そのものは もちろん含まれません おそらくワープロで書くよりは論理的でいいものができると思いますが、 文書の構成や内容に関しては自分でよく考えましょう。

1. まず準備するもの

まず、エディタを起動して以下のような LaTeX のソースファイルを作ります。 使うエディタはどのようなものでもかまいません。

\documentclass[a4paper,11pt]{jarticle}

\begin{document}

   ここに本文を書く

\end{document}

テキスト文字の標準サイズは、10pt, 11pt, 12pt が指定できます。 「ここに本文を書く」というところに、 自分の文章を書きます。 すでに存在しているテキストがあれば、 それをコピー&ペーストでこの部分に挿入すれば 簡単にソースファイルが出来上がります。

このソースファイルの1行に書く文字数と実際に印字される文字数は、 関係ありませんので、適当に見やすいように改行して書いてください。 行の最後の文字が日本語(全角文字)の場合には、改行しても印字の際に 空白は空きません。

段落を変えるときには、1行あけてください。 そうすれば自動的に改行して、自動的に字下げ (indent) もしてくれます。

ある程度できたら、ファイルを保存しましょう。 ファイル名は .texという拡張子をつけます。 例えば、 foo.tex、や kadai.tex のような名前にしてください。

2. コンパイル、プレビューするには

ファイルを保存したら早速どのように印刷されるのか 画面でプレビューしてみましょう。 以下のコマンドでソースから印刷イメージを作ります。 foo.tex を例に取ると、まずシェルを起動して、

platex foo.tex

と入力してください。 この操作をコンパイルといいます。 通常コンパイルというのは、人間の書いたプログラムから コンピュータが実行できる形式に変換することいいますが、 (La)TeX を実行するときにも使います。 コンパイルが無事終了すると

This is pTeX, Version p3.0.1, based on TeX, Version 3.14159 (EUC) (Web2C 7.3.7)
(./foo.tex
pLaTeX2e <2001/09/04>+0 (based on LaTeX2e <2001/06/01> patch level 0)
(/usr/share/texmf/ptex/platex/base/jarticle.cls
Document Class: jarticle 2001/10/04 v1.3 Standard pLaTeX class
(/usr/share/texmf/ptex/platex/base/jsize11.clo))
No file foo.aux.
[1] (./foo.aux) )
Output written on foo.dvi (1 page, 280 bytes).
Transcript written on foo.log.

というメッセージが表示されて、foo.dvi というファイルが生成されます。 ? で止まってしまった時は、何か間違いがある場合ですので x と入力して一旦終了し、訂正してからもう一度コンパイルしてください。 この時、↑キーを押せば以前入力したコマンドが表示される、 というシェルのヒストリー機能を利用しましょう。

プレビューするには、

xdvi foo.dvi 

と入力します。 platex や jlatex の日本語 (La)TeX を使った場合 本来ならば (Debianの標準だと)、xdvi-ja というコマンドを使うべきところですが、 yakushi では単に xdvi というコマンドで、プレビューできるように設定してあります。 プレビューを終了するには q を押します。

xdvi foo.dvi &

のように後ろに & を付けておくと、 再びコンパイルする時にプレビュー (xdvi) を終了しなくてもいいので、 少し幸せになれるかもしれません。

3. 印刷するには

生成された foo.dvi というファイルを 10番、32番教室の プリンターに印刷するには、 以下のようなコマンドで入力します。

dvi2ps foo.dvi | lpr -Pkyk9203

-P のあとに続けてプリンタ名を書きます。

ところで10番、32番教室のプリンターは Postscript Printer と呼ばれるプリンタです。 通常はそれらのプリンタへ出力する場合には、dvi ファイルを 一度 Postscript ファイルに変換する必要があるのですが、 yakushi では、自動的に変換するように設定してあります。 もし Postscript ファイルを実際に作成したい場合には、

dvi2ps foo.dvi > foo.ps

というコマンドを入力してください。foo.ps という名前の Postscript ファイルが生成されます。 Postscript ファイルならば、そのまま lpr コマンド でプリンタに送ることができます。例えば

lpr -Pkyk9203 foo.ps

のように入力してください。

4. もう少し体裁を整える

\documentclass[a4paper,11pt]{jarticle}
%  1行の中に % がある場合、それより後ろは無視される
\pagestyle{empty}		% ページ番号をつけない場合

\begin{document}                % ここから本文が始まる

\title{レポートの題}            % タイトルを定義
\author{松本成司}               % 著者を定義
\maketitle                      % センタリングして適当にタイトル部分を
                                % 表示してくれる

\section{はじめに}              % セクションの題を書く
                                % 番号は自動的に振られる
段落を変える時には1行空けて書く。
自動的にセクションに番号がつく

\section{次に}

次のセクションはここに書く。

\section{結論}

結論はここに書く。

\end{document}                  % 本文の終り

またテキストの幅や高さ、左右のマージンや行間は次のように指定できます。

\documentclass[11pt,a4paper]{jarticle}

\setlength{\textwidth}{150mm}       % テキストの幅
\setlength{\textheight}{232mm}      % テキストの高さ

\setlength{\oddsidemargin}{5mm}     % 偶数ページの左マージン
\setlength{\evensidemargin}{5mm}    % 奇数ページの左マージン
\setlength{\topmargin}{5mm}         % 上のマージン
                      % (実際の空白はこれらに1インチを加えたものになる)

\begin{document}                   

\setlength{\baselineskip}{16.0pt} % 各行のベースライン間を16ポイントに設定

本文

\end{document}

5. レポートの作成例

どのように作成してあるかは、latex のソース・ファイルを 見てください。 Postscript(PS)ファイルは、gv や kghostview などの PSビューアで 開けます。

6. 参考文献